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安西マリアと昨年会った。その時…
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先日のこと、歌手の安西マリアが2月下旬に心筋梗塞で倒れて現在、脳死状態であると報道がされた。その後、病状は回復し、自力呼吸ができるまでになったというが、意識はいまだ戻っていないという。

だが昨年、私は、彼女と久々に再会した。かつては千葉にあったスナックにも何度か顔を出したこともあり、かなりざっくばらんに過去のことを話したりもした。

73年にデビューした彼女の同期には、桜田淳子、浅田美代子、あべ静江、アグネス・チャンに石川さゆり……とにかく、70年代アイドルの黄金時代とも言える逸材を次々と輩出。その中でも、安西は「涙の太陽」が50万枚のヒットとなり、まだブレイクしない百恵や淳子よりも派手なルックスと相まって、男性ファンを中心に人気を博した。

ところがその後、突然、芸能活動を辞めて、マネージャーと失踪するという前代未聞のスキャンダルを起こす。それが78年の4月のことだった。

当時を知る芸能記者が振り返る。
「実は安西が、マネージャーと独立する話が浮上。それを察知した当時の所属事務所の社長が、安西とマネージャーを呼び出したんだよ。それで、安西の目の前でマネージャーを殴る蹴る、ボコボコにした。それどころか、安西に対しても『コンクリートで固めて海に沈めるぞ』と脅したといいます。それで、独立どころか芸能界がイヤになった安西は、マネージャーと消息を絶ったんです」

これが、ワイドショーの知るところとなり、大問題に。最終的に警察沙汰になって一件落着したが、安西は芸能界に戻ることはなかった。

そんな彼女が芸能界に復帰したのは、00年だった。すっかり熟女になっていた彼女だったが、引退後は社長夫人としてセレブ生活をしていただけに、その優雅な振る舞いからは、とても50歳近い主婦だったとは思えない色香が漂っていた。だが、すでにその時には離婚していたため、子供を引き取り、生活のため芸能界に復帰したのだ。

「その当時は『ヘアヌード写真集』も撮影。しかし、元夫の反対もあり、一度はお蔵入り。その後、10年が経過して発売されたことも……。一時はメンタル面でも苦労していましたが、心筋梗塞になるまでは精力的に芸能活動もしていた」(前出・記者)

そんな元気な現場を見た私に安西は話しかけてきた。「ヌード写真みたの? 意外といけてるでしょ」と気丈に振舞っていた。

「前に比べると、歌を歌うのが楽しいのよ。前は、歌うことが憂鬱だったけど、復帰してからは、歌うと気が晴れるの。人数は少なくても楽しくてしかたがないのよ」

スキャンダルにまみれたアイドルのその後の人生は山あり谷ありだ。笑顔を浮かべる彼女は、人気アイドル時代よりも、様々な艱難辛苦を味わったからこそ、人生の後半戦が楽しめるとも語っていた。そんな矢先の今回の入院。まだまだ、可能性はあるだけに、もう一度、元気な姿を見せてもらいたいのだが……。
2014/3/15


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