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失楽園・渡辺淳一氏が最後まで惚れぬいた女
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先日のこと、作家の渡辺淳一氏が亡くなった。享年80歳だった。女性には、あまりなじみのない作家といえそうだが、団塊の世代の男性を中心に圧倒的な人気を誇っていた。

その人気を決定付けたのが、日本経済新聞で95年から翌96年まで連載された「失楽園」だった。ストーリーは子育てが一段落した主婦と人事異動で閑職に追いやられた編集者が不倫し、愛欲に溺れるというもの。ところが、このストーリーが、マジメ一筋のサラリーマンや経営者のハートをつかみ、最終的には「失楽園現象」まで引き起こしたのだった。

当の渡辺氏も最後まで、性愛にこだわった人生だった。男女を問わず「浮気のススメ」をしたかと思えば、晩年には自らがED(勃起不全)になったことまで告白。その旺盛な女性への渇望感は、最後まで男性読者を中心に共感を呼んだものだった。

そして、その渡辺氏はプライベートでも小説の世界を地で行くような奔放な異性関係を実践した。

「医師時代には、ナースと不倫関係になったのか、作家デビュー後も銀座のホステスと浮名を流したほか、原作となったドラマや映画の出演女優とも噂になった。ただ、結局、実際に交際していたのはテレビ版の『失楽園』に出演していた川島なお美だけでした」(出版関係者)

もともと二人は、とあるパーティーで同席し、川島のアプローチで交際を開始。その後、月刊誌などでスキャンダルが報じられて以降も交際を続け、約2年間不倫関係にあったのだ。

かくいう私も後年になって、たまたま銀座の高級クラブにいた渡辺氏を知人に紹介してもらい同席した際に、酔ったフリをして川島との交際を問いただしたことがあった。すると、渡辺氏は、
「随分、不躾なことを聞くねえ。こんな美女がいる場所で他人の話をしたら失礼じゃないか」
と軽くいなした。傍らにいたホステスは、すぐにこちらにささやいた。
「川島さんの話は普段からしていましたよ。実は、先生が唯一、心を許したのが川島さんだと、おっしゃっていました」

それほど、渡辺氏は最後まで、惚れぬいた女性だったと言うのだ。

「渡辺氏はああ見えて、付き合う女性は後腐れのない、水商売の女性がほとんど。芸能界の人とは縁がなかった。そうした中で、付き合った女性ですから、自尊心も満たされたのでしょう。最終的には、川島さんのわがままがもとで別れたようですが、その後も、新聞紙上で『私の履歴書』を書いたときにも他の女性関係は赤裸々に綴っても、川島さんのことは最後まで触れずじまい。どうもすでに川島さんには別の交際相手がいることを知って、掲載をやめたといいます。最後まで気にかけた存在だった」

川島が、4月にガンを告白した時も、自身がガンだったにも関わらず、メールで気遣ったという渡辺氏。年下女優との愛欲の日々を思い出に天国へと旅立ったのかもしれない。合掌。
2014/5/9


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