磯部:元J大沢樹生の自叙伝について
イケメンの定義とはなんでしょうか。
それこそ人の数ほどあるんだと思いますが、僕がイケメンだなぁと思うのは何かしら突き抜けている人ですね(とはいっても僕は男なんですけれど)。
ということで、今日は最近取材で会ったひとりのイケメンの話でもしようかと思ったんですけれど、それじゃヒネリがないので、スパイシーなタイトルの自叙伝についての、ブックレビューを書いてみようかと思います。
本の名前は「昨夜未明、大沢樹生が死にました…」(カイゼン)。著者は「元・光GENJI」大沢樹生(39)です。
著者についてはご存知だと思いますので、ここでは省略。取材先で、わりと写真集や単行本を“資料として”もらえることが結構あります。元々本は好きなので目を通すのですが、正直イマイチなものがあるのも事実です。しかし、同書は書き出しから軽快でした。光GENJIを引退してから早くも12年。とある元メンバーと偶然再会したところから始まります。
ともすればチープになってしまう場面ですが、言葉が上滑りすることなく、40歳を目前に迎えた男性の戸惑いや、照れや、距離感がにじみでる気取らない語り口。なによりも書き手の誠実さが、しっかりと伝わってくる、好感を持てる文章でした。
内容も内田裕也や尾崎豊と大酒飲んだ話や、前妻との離婚の苦痛…読んでいて、かなり率直に書かれているという印象を受けました。なかでも、元・光GENJIが一生ついて回ることの苦味と、ある瞬間に和解をする場面は味わい深い。最後の場面をちょっと引用。落ちぶれた元アイドルの下にロックフェスティバルの出演依頼が珍しく入ってきます。
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客席は冷え切ったままだった。ロックかぶれのアイドル歌手が何か調子コイてるよ、と言われているみたいだった。
君たちの言うとおりだ。きっと俺はロックかぶれのアイドル歌手に過ぎなかったんだろう。そしてそれを認めたくなくて、今日まであがいてきただけだったのだ。
だけど、すまない。契約は3曲なんだ。もう一曲だけつきあってくれ。すぐに終わるから。
最後の曲はシャレで入れた『ガラスの十代』だった。
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この後自らの代表曲によって救われる場面が描かれます。読んだ後に「カッケエ〜」とつぶやいた、実にイケメン度の高い自叙伝でした。
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