志和:握手会の惨劇
某月某日、某アイドルの握手会で、こんな不祥事が起きました。あえて不祥事、と呼ばせてください。
この手の握手会は、有名なタレントさんであればあるほど参加者も多いし、握手なんか「高速握手会」と揶揄されるほど、歩きながらほんの一瞬、握手できる程度。タレントさんの前にお客さんたちが列をつくり、その後ろに待機するスタッフたちが、お客さんの腰やら腕やらをつかんで、すばやく横に流していく、いわばベルトコンベア式となることが多いです。
きっと、ユーザーの皆様の中にも、そういった握手会の類に参加された方はいらっしゃることと思います。
お客さんたちは、ファンですから、ほんの一瞬でもあこがれのスターに会って握手できればと…参加するために、参加券や抽選券の得られるCDやらDVDやらを購入し、必死の思いで会場へ駆けつけます。
Aさん、としましょう。
Aさんも、そんな熱心なファンの一人。もうその事務所のアイドルたちを十年に渡って応援しています。それで、今回の握手会に参加するため、相当な努力をしました。ところが楽しみにしていたその現場で、あろうことか、スタッフに強引に引き剥がされた上に、
「歩きながらって言ってるだろうが、この野郎!」
との罵声を浴びたのです。
私は最初信じられない思いで、その場に居合わせた人たちに話を聞いてまわりました。残念ながら事実でした。
たしかに中には、変なお客さんもいます。必要以上にタレントの手をつかんで粘ったり、時にはその手を引っ張ってみたり、タレントに罵詈雑言を浴びせたり…。
だから、スタッフがピリピリしているのはわかります。大切なタレントが、ファンとじかに接する現場なのですから。
でも、タレントが大切なら、そのCDをたくさん買って握手会に参加してくれたファンも大切なはずですよね。変なお客さんと、普通のお客さんを一緒にしては、いけませんよね。
Aさんは、別に必要以上に粘ったりとか、そんな不審なことをするような人ではなく、現場で目撃していた人たちも、なんらおかしなところはなかったし、普通に握手していた、と証言しています。
Aさん自身に話を聞くと、「事務所の人も必死なのはわかりますが、後味の悪い思い出になってしまいました」と凹んでいました。
百歩譲って、注意すること自体が正当であるとしても、お客さんにそのような乱暴な言い回しは、どうでしょうか。「この野郎!」ですよ、「この野郎!」。
まわりで聞いていた人も、どう思うでしょうね。普段からお客さんのことをどう思っているか、バレバレじゃないですか。
もったいない話です。お客さんとふれあう貴重な場なのですから、そこで好印象を与えることで、また、たくさんの人がCDを買ってくれるかもしれない。チャンスなわけですよ。それなのに…。
CDが売れない時代と言われて久しいですが、こうしたイベントの現場にも、そういう焦燥感みたいなものが出てきているんですかねぇ…。
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