虎男:追悼・山田辰夫

「うるせーんだ、どブスぅ!!」

「おもしれーじゃねーよ! やってやろーじゃねーよ!」

「街中のヤツらみんなぶっ殺してやる…!!」

今でも耳に残っているあの“すっとんきょうボイス”。冒頭のセリフでピンときた方は、かなりの映画通です。そう、映画「狂い咲きサンダーロード」で主人公・仁を演じた俳優・山田辰夫さんのセリフです。

暴走族なんてまったく興味ねえんですが、「狂い咲き〜」は、間違いなく僕の人生に影響を与えた作品。バイクを転がしたい気分にはなりませんでしたが、仁よろしく女性に向かって「うるせーんだ、どブスぅ!!」と言いたくなりました。良識ある男性の方は、確実に嫌われてしまうので、真似しないように。

僕が山田さんを知ったのは、ドラマ「はるちゃん」シリーズでの支配人役ですが、当時も「声に特徴がある人だな〜」と思ったものでした。だから「狂い咲き〜」でのトンガリまくった山田さんを見た時は、「あのベテラン俳優って、デビュー作はこうだったの!?」と、驚いたというか。

裏チャンで山田さんの訃報が報じられた際、使用された写真は、昨年11月に行われた映画「その日のまえに」の初日舞台あいさつでした。取材したのは、何を隠そう僕です。山田さんももちろん一言、二言話されたんですが…すみません、さっぱり思い出せないんです!! その時の原稿を読んでも、主演の南原清隆さんや永作博美さんを中心に書いてるので、山田さんが何をおっしゃったのかは、わからずじまい。ああ、俺のバカ!!

その他、山田さんが出演された「ヨコハマBJブルース」、「すかんぴんウォーク」、「凶弾」といった作品は、まだ見ていないので、ぜひとも見たいと思います。あ、もちろん「おくりびと」や「その日のまえに」も。

それにしても、53歳って早過ぎるじゃないですか! 大ケガを負いながらも、仲間を失いながらも、大勢に立ち向かっていった魔墓呂死の特攻隊長・仁のように人生を猛スピードで駆け抜けていったんだろうか…。

ご冥福をお祈りいたします。

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