志和:素人の味

いくつになっても嬉しいもんだよねぇ、誕生日。寿、寿と♪
…落ち着いて考えると、またひとつ歳とっただけなんだけどね〜。
東京は港区の三田、慶応大学の近くに「グーテ・ド・ママン」というケーキ屋さんがあって。ここで毎年マイ・バースデー・ケーキを作ってもらうんだよぉ。
1983年…ちょうどまだ私が学生のころオープンしたお店なんですが、「お菓子は作るより食べるほうが好き」というマダムが、「おままごとのように」スタートさせた。つまり、どこかで修行してとか、本格的なプロの技術を習得してとか、そういうキャリアが0で、「ケーキが大好きだから」という理由だけでお店を始めてしまった。
最初は家族からも無謀だと大反対され、その通りオープン当初は試行錯誤、苦労の連続。大きな業務用オーブンにも慣れておらず、家ではできたことが店では何度も失敗したり。技術がなくて、売り物が売れずに泣く日々。お客さんに売り切れと称して、営業しながらの猛勉強。
でも、そのお店がいまやスタッフを抱えて毎日フル回転の人気ぶり。
マダムいわく…
「私のお菓子はこんなお菓子があったら・・と試行錯誤を繰り返しまずは味からつくっているので新鋭のパティシエのような完成されたフォルムもないかもしれません」
「パイのふちがきれいにそろっていなくてもキャラメルソースの濃さが違っても、すべておいしければいいんだ」
気持ちがいっぱいこもっている、すてきなケーキなんだよねぇ。
経験に溺れた二流のプロよりは、気持ちのこもった一流の"素人"がつくり出すもののほうが、よくありませんか?

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