志和:30年目のオリビア
3月7日は、よく泣けた一日でした。
朝、護国寺へ行き、久世光彦さんの葬儀を取材。
久世さんのドラマで、昔、芦田伸介さんや岸本加世子さん、そして大好きな日下武史さんも出演した「真夜中のヒーロー」というのがありました。理由あって予定より早く終了しちゃったドラマだけれど、私はとても好きで、そのとき「久世光彦」という名前が記憶に刻まれたのです。
脚立の上で写真を撮っていて、喪主・朋子さんのあいさつが聞こえてきたとき、もらい泣きしてしまいました。
そう思っていたら、「仕事は私事」「すべての写真は私写真だ」の天才アラーキーさんがいるではありませんか。首から、愛用のライカM7(ドイツのカメラ)をぶら下げた姿が印象的です。
2日間にわたった久世さん関連の取材を終え、夜に編集部を出て向かった先は、サンプラザ。オリビア・ニュートン・ジョンのライブです。
オリビアを初めて聴いたのは、1976年。「ピーナツ農夫から大統領へ」をキャッチフレーズに、ジミー・カーターがアメリカ大統領選挙を戦った、あの年です。
あれからちょうど、30年。
1曲目が「そよ風の誘惑」だなんて、反則です。涙が滝のように流れて、ステージが見えない。
かつてクリスタルボイスと称された歌声は、まったく色褪せていません。齢を重ねたことで、深みの増したヴォーカル。地味で大人しいのだけれど、若いころより一挙手一投足に求心力のあるステージアクション。
円熟とは、こういうことを言うのですね。ありがとう、オリビア。Tシャツ買っちゃいました。いちばん大きくてLサイズだから、着れないよ。あっという間にカミさんのものになっちゃった。
そして、一日のシメは、やっぱりお酒を一杯ですよ。それも、赤ちょうちんがいいですよ。オリビアを聴いて、それで、赤ちょうちんですよ。
このセンスのなさが、ラクなんですよ。
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