志和:都会のハイエナ

最後のプロ用フィルムカメラ

きのう編集部でオナツと雑談をしていたら、"都会のハイエナ"ウィージーの話になりました。ご存じでない方のために少し紹介させていただくと、ウィージーというのはニックネームで、本名をアーサー・H・フェリングという写真家です。1920年代から、ニューヨークを舞台に、事故や事件現場に誰よりも早く駆けつけ、センセーショナルな写真をタブロイド紙に売りさばいて生きていた人です。ポリスより早く現場にウィージーがいて、容疑がかけられたこともあるとか。

45年に写真集「裸の街」を出版。その後、スタンリー・キューブリックの映画「博士の異常な愛情」の特殊効果に協力したりも。

11歳の時、オーストリアからニューヨークにやってきた貧しいジューイッシュ(ユダヤ人)移民だった彼は、写真が売れるまではホームレスでした。

彼の残した言葉です。

「私は現場にいた。時には自分でも説明できない何かの力に引き寄せられ、ニューヨーカー達をとらえていた。仮面をとり、何も恐れずに、笑い、泣き叫び、愛し合う人々を。写真を撮るということは、彼らとともに笑うこと、泣き叫ぶことだった」

私は子供のころウィージーにあこがれ、いつどこへ行くときもカメラを手放さない生活を始めました。中学3年のとき、近所で騒ぎが起きたので「現場」へ駆けつけると、私より先にたくさんの野次馬がすでに現場に到着していました。カメラを持ってなんとか前のほうへ出てみると、川べりにとめてあった小舟がボヤを出していたのでした。

「ウィージーは遠すぎる」…と悟りました。


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