志和:現像

酢酸の匂いがしないんだよね、いまの暗室は…ってPCソフトになっちゃったんだから当たり前か。

久々の休日、近所のループ橋を撮りに行って、PCで「現像」してみました。

初めて暗室作業を教わったのは、中学生のころ…近所のカメラ屋さんのご主人が先生でした。結構お歳をめしていらしたから、もしかしたらもういらっしゃらないかも…。お店はとっくになくなったし。白髪まじりで、笑顔のやさしい、細身の人でした。

現像タンクのリールに、フィルムを巻いていくのは面白かったな。イーゼルに置いた印画紙に、引き伸ばし機のランプから投影されたネガのモノクロームな映像。新鮮な驚きでした。

現像の進行を止めるのに酢酸を希釈した液を使うのですが、これがポリタンクのフタをきっちり締めても匂いが部屋に充満してしまうぐらいツンとして。暗室というと、暗い橙色の暗室電球の灯りと酢酸の鼻をつく匂いがセットで思い出されます。

あれから30年以上の月日が流れ、いまや現像といえばPCにインストしたソフトで行う画像処理を指すようになりました。

でも、この作業を画像処理とか加工ではなく、「現像」と称したセンスはすばらしいです。写真へのリスペクトを感じます。単なる画像処理と現像では、心の持ちようが違います。現像は、けっして「処理」や「加工」であってはならないからです。

写真は、その場に行かないと撮れない。その時、その場にいないと、撮れません。

今日も裏チャン編集部は、みんなでカメラを持ってさまざまな芸能の現場へ出かけます!

《前へ   次へ》

芸能!裏チャンネルTOPへ

(c)StockTech.Inc
(c)Time Inc.