マロン:ミル・マスカラス

マスカラスのマスク

マスカラスの誕生日。いったい何歳になるんだ、還暦は過ぎているに違いない。いまだ現役で、美しいフォームで空中を飛んでみせるのだから、まさしく「プロ」レスラーである。

その昔「千の顔を持つ男」と呼ばれ、試合のたび異なるデザインのマスクを着用して驚かせた覆面レスラー。映画「スカイハイ」のテーマ曲で入場するようになると大ブレーク、覆面のデザインを固定し、そのかわり入場用のマスクを2枚重ねでかぶり、リングアナのコールとともに上にかぶった入場用のマスクを取り去って客席に投げる(メキシコでは投げない)派手なパフォーマンスをするようになった。ニックネームも、人気が出るにつれ「仮面貴族」と呼ばれるようになった。

私は中学1年のとき、マスカラスと会いに東京・後楽園ホールへ行った。所属したマスカラスファンクラブのみんなで、会報用のインタビューに行ったのだ。某プロレス誌の編集長が、間をとりもってくれた。

控室から飛び出てきたマスカラスは、胸に88と書かれた紫のシャツ、そして黒いラメにシルバーの模様のマスク。普段はスペイン語を話すメキシカンだが、アメリカで活躍した時期も長く英語もしゃべれた。お互いカタコト英語で、プロレス誌の人の助けも借りつつ、いいインタビューになった。

初めてマスカラスと会い、足の震えがとまらなかった。心臓バクバク。握手した手のやわらかさと、マスク越しのやさしい黒い瞳が忘れられない。

そして、試合前にマスカラスを騎馬戦の騎馬のように担いで入場することになった。これはその後恒例となったが、実はこのときが史上初の騎馬だった。

ところがマスカラスは、騎馬の乗り方など知らなかった。先頭の人間の肩に、ヒョイと肩車をするように乗ってしまった。入場はもう始まっている。いちいちマスカラスに説明して騎馬をつくり直す暇はない。こうなったらしょうがない、「ウォー!」みんなでまわりから支えるように持ち上げて、そのままふらふらと入場した。その模様は、日本テレビで中継された。幸い、騎馬はなんとかリングサイドまでもった。いまにもくずれそうな情けない騎馬から飛び下りたマスカラスは、安心したような軽やかなステップで、小走りにリングへ駆け上がって行った。

リングの上では、宿敵「白覆面の魔王」ザ・デストロイヤーが待っていた。

…なにやら中学生の作文のようで恐縮だが、マスカラスを思い出すと瞬時に中学生に戻ってしまうのだ。

VIVA! MASCARAS!
EL AMIGO

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