志和:AKB48のお見送り


梨元御大とAKB48劇場を訪れたのが2006年の12月。ちょうど、同劇場がオープンして約1年目のことでした。裏チャンネルにAKB48の取材記事が初めて載ったのが、さらにさかのぼって同年2月2日のこと。書き出しは、こうです。
「アイドルのあり方が、ここ数年で大きく変わることになるだろう」

実際、少なくともAKB48を取り巻く環境は激変したといえます。テレビやラジオのレギュラー数はうなぎのぼり、アイドル系と目される雑誌をはじめ写真週刊誌もこぞってAKB48のグラビアを載せ、大手スポーツ紙も大型連載開始など、いまや国民的アイドルとの形容がふさわしくなりました。取材現場に行っても、報道陣の数たるや…。

じつは私は、取材でAKB48劇場を初めて訪れる以前、オープンまもないころから何度か、友人に誘われて初期の劇場公演を観に行っています。まだチームが一つしかない頃です。これはどうでもいい話ですが、私、学生の頃のあだ名が苗字に引っ掛けて偶然「48(フォーティエイト)」で(笑)。そんなことからも妙に親近感をおぼえ、誘われるまま劇場へ…。
当時も今と変わらず「キンコンカンコン♪」…誰もが聞きおぼえのある、あのチャイムの音から公演は始まりました。アイドルファンの男性はもちろん女性も、現役の学生も、その親さえも共感できる世界観や懐かしさ、ときめきがそこにありました。これは国民的アイドルグループになるのは「間違いない!」と確信した瞬間でした。

忘れられないのが、当時慣例だったお見送り。コンサート後、帰ろうと席を立ちロビーに出ると、お客さんが全員待っている。友人も「志和さん、帰らないで!」と笑っている。「!?」と待っていると、一度閉じられた劇場の扉が開いて、なんとさっきまで力いっぱいのステージを披露していたメンバーたちが勢ぞろい、疲れているだろうに、ありったけの笑顔で手を振ってお見送りをしてくれるじゃありませんか。

結婚前にカミさんと足しげく通った下北沢の劇場で、必ず終演後に出演者たちがお見送りしてくれたのを思い出してしまい、いたく感激したものです。

どんなに売れて、どんなに大きくなっても、あのお見送りの精神を忘れて欲しくないなぁ…そう願います。

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