TYO:前忠はオシャレで俺はダサい?
梨元さんが亡くなってあっという間に3週間が過ぎました。ほかのスタッフに比べるとそれほど深い付き合いではなかった私ですが、つらつらと思い出を書いてみます。
もっとも強く叱られたのは、覚せい剤取締法違反で逮捕された酒井法子さんが湾岸署から東京地検に送検された日です。朝から激しい雨が降り続ける中、彼女を乗せたワゴン車が公道に出た瞬間を何とか撮影。すぐさま編集部に写真を送ろうとしたのですが、なぜかノートPCのネットがつながらず。この時は分刻みに入電があり、そのたびに「写真はまだか!」「ふざけるな!」と濡れネズミのまま怒鳴られ、何とも惨めな気分に。同時に、梨元さんの仕事にかける情熱を十二分に感じることができました。後日、ノートPC自体が故障していたというオチがついたのも、いまとなってはよき思い出です。
もっとも笑顔を見ることができたのは、今はなき「オーマイニュース」の動画番組を撮影する際に付き添い、ともに秋葉原を散策したときです。当日は日曜日、加藤智大被告が事件を起こした数ヵ月前でしたから歩行者天国もにぎやかで、梨元さんは多くの人から握手と記念撮影を求められていました。おでん缶やメイド喫茶などのアキバ名物を嬉々として体験するそのバイタリティーに、心底感心した記憶があります。
もっとも印象に残っているのは、生前に親交の深かった神田うのさんのバースデーパーティーから編集部に帰る際のタクシーでの会話です。当日は、梨元さんと根本デスクをサポートする役割で某一流ホテルに潜入。多くの芸能人に直撃取材をしたのですが、なぜか御大、某ファッションデザイナー氏を前にしたときに一瞬だけ表情を曇らせたのです。その理由が明かされたのがタクシーの車中。いわく、「あいつ、前忠はオシャレで俺はダサいって言ってやがったんだ!」。現在アップされている追悼座談会の前田忠明さんの話を読んでから思い返すと、じつに感慨深いものがあります。きっと、私たちスタッフの前でも“犬猿の仲”を演じていたのでしょう。
多くの著名人が語っていたように、義理堅く情に厚かった梨元さん。一介の記者である私の祖父が亡くなった際、実家のある北関東のド田舎に花を送っていただいたことは、生涯忘れません。
改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。
《前へ 次へ》
■芸能!裏チャンネルTOPへ
(c)StockTech.Inc
(c)Time Inc.