志和:ブルー・ライト・ヨコハマ
つい先日、昭和44年の第20回NHK紅白歌合戦の映像を見ました。
懐かしい。初登場いしだあゆみさんの「ブルー・ライト・ヨコハマ」。
イントロが流れるステージへエスコートされたドレス姿のいしださん。曲に間に合うように、マイクまで小走りしたんですよね。その様子が、ものすごく可愛い。いまのいしださんに可愛いだなんて言ったら失礼ですが、本当に可愛いし、いしださんも歌も美しい。
紅白はすでにカラーでしたが、現存する本番の映像は、宮田輝アナウンサーの夫人が自宅で録画し、後にNHKに提供したモノクロVTRのみなんですよね。だから私が見た映像もモノクロ。だけど、ある意味カラー以上に"色"が見えるような、明るいような気がします。
当時、オフクロが東京のはずれの小岩という街に、「千景(ちかげ)」という小料理屋を出していましてね。私の幼稚園〜小学1年にかけての頃だったのですが、よく連れて行かれて、店が終わるまで奥の座敷に寝かしつけられたりしていたものです。お酒やタバコの匂い、そして流れる歌謡曲が子守唄がわりでした。
店の隣にはエイトというソープがありましてね。当時はソープじゃなくて、「●●●エイト」って、某国の国名が付いていました。毎日のようにおにぎりの注文を受けて、ソープ嬢のお姉さんたちの控え室に届けに行きました。半裸のお姉さんたち、一様にやさしかったのを覚えています。
そのころ、街に流れていたのが「ブルー・ライト・ヨコハマ」。
この曲ばかりは、一生忘れられないですね。
夜って、いまみたいに明るくなかったですよね。街全体が夜は眠ったみたいに暗かった。もちろんコンビニなんてなかったし、開いている店なんて盛り場ぐらいだったでしょう。街灯だって、いまより本数が少なかったし。
手をひかれて家へと帰る道すがら、言葉の意味なんてわからないまま一緒に「ブルー・ライト・ヨコハマ」を口ずさんで歩いてね。
いま、節電で少しばかり、東京もあの頃に戻ったように街が暗くなりました。
あらためて「ブルー・ライト・ヨコハマ」を聞くと、じ〜んときます。
歌が、明かりだったんですね。
仕事でAKB48はじめ最新のアイドルグループを取材しているわけですが、私の中では「ブルー・ライト・ヨコハマ」を口ずさんでいたあの頃から、芸能って、ずっと一本の線でつながっている気がいたします。
いろんな人を元気づけたり励ましたり…記憶に残る歌って、すばらしいですよね。
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